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# Listen to List
Guest : 伊藤紺(歌人/コピーライター)

一歩はみ出したクリエイターが大事にしている音楽やラジオについて語ってもらう、#Listen to List 。第3回目のゲストは、歌人の伊藤紺さん。短歌の展示を開催したり、歌集入りのチョコレートボックスを発売したりと、短歌をさまざまな方法で表現しています。伊藤さんの現在までの道のりや、その道中で聴いていたラジオについてお伺いしました。

#1 菊地成孔の粋な夜電波

大学卒業後、半年でフリーランスの道を選んだ伊藤さん。公私ともに忙しない日々の中で、ある番組と出会います。伊藤さんにとって、その出会いは大事にしたいものや自身の信念を再確認するきっかけになりました。

「新卒で広告代理店に入りましたが、社風が合わず半年で辞めて、元インターン先にお世話になりながらフリーランスのライターになりました。短歌は大学4年生のころに始めて、そのうちお仕事をいただくようになりました。コピーもいつからかお仕事をいただき、それに伴ってライターの仕事が減って、今の感じに落ち着いています。最初のほうは仕事もプライベートも大変で、そんななか出会ったのがTBSラジオの『菊地成孔の粋な夜電波』でした。成孔さんの音楽や世界への強烈な愛に触れて胸が熱くなって、すごく心がくっきりしたんですよね。愛はもちろんいつでも大事だったけど、自分が持っている愛の温度とかスピードとか広さみたいなものを再確認できました。番組最終回まで毎週ずっと聴いていました。今でも座右の銘は成孔さんが番組内で言っていた“ストレンジに生きよう。思いがけないような、変なことだけが、あなたを正しさのすぐ隣に、一瞬で連れて行ってくれる。”です」

#2 ハライチのターン!

出典:TBSラジオ

落ち込む日や不安な夜は逆に笑うようにしているという伊藤さん。芸人のラジオを聴いて、笑っていることが多いそうです。

「『ハライチのターン!』や『アルコ&ピース D.C.GARAGE』などのラジオを聴いて、けらけら笑いながら、料理や掃除をすることが多いです。若いころは悲しいときに悲しい曲を聞いて、感傷に浸ることのほうが多かったような気がするのですが、年齢を重ねてなのか落ち込みすぎると本当につらくて、落ちすぎないように工夫するようになりました。笑えるラジオを聴きながら、なんにも考えずに手を動かして、おいしいごはん食べたり、ちょっときれいな部屋にしてなるべくはやく寝るようにしています」

#3 叶姉妹のファビュラスワールド

伊藤さんにとって、自分らしい道を進むということは、「自分ではどうにもできない自分の性格や頭脳や憧れのせいで選ばざるを得なかった小道に進むこと」だったそうです。

「自分で考えて決めたというより、気づいた時にはその道しかなくて、自分の不器用さを恨みながら歩きづらい道を進むしかない…みたいな。『叶姉妹のファビュラスワールド』はそんな道を歩き続けて疲れてしまった心を潤し、支えてくれる番組です。恭子さんってぶっ飛んだ方というイメージだったのですが、すごく一貫していて誠実で一気に好きになりました。一問一答形式のコーナーで「自信のあるところはどこですか?」という質問に「全てです」と答えていて「そうだよねー」と思っていたのですが、その後「コンプレックスはどこですか?」という質問に「コンプレックスも全てです」と答えているのを聞いてぐっときました。それでいいんだな、と。その後、別の放送回で「くまもんとふなっしー、会えるならどっち?」という質問があったのですが、恭子さんも美香さんも「会いません」とやさしく即答しているのを聞いて、それでいいんだなあって(笑)。笑いながらじーんときました」

CREDIT

POET

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歌人/コピーライター。2019年歌集『肌に流れる透明な気持ち』、2020年歌集『満ちる腕』、2021年Iwaya Kahoとの展示図録『すごく近い』、2022年ミニ歌集『hologram』(CPCenter)を刊行。

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EDIT

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1994年長崎県生まれ。本を作るレーベル bundleを立ち上げ、編集をおこなっている。その傍ら私情的エッセイと詩の狭間で言葉を使った表現をおこない、2020年には初の詩集「いっさいすべての春」を刊行した。

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