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#3 木南清香の「背中を押す言葉」

やらないで後悔
するより、
やって後悔しよう

一歩踏み出したいし、今いる世界をもっと鮮やかにしていきたい。そんな時、誰かにかけられた言葉やふと触れた言葉が、背中を押してくれることがあります。この連載ではさまざまな人たちの心を軽くしたり、別の場所へ向かう歩みの支えになってくれた言葉をご本人によるコラムで紹介。今回は舞台を中心に活動する俳優・木南清香さんの「背中を押す言葉」です。

最近、俳優としての活動とは別に、新しいInstagramアカウントを開設したんです。自分が撮ったポートレート写真を載せるアカウントです。もともと写真を撮るのが好きだったのですが、きちんと勉強してみようかなと思い、40歳を手前にカメラ学校に通い始めて、本格的なカメラも買って。「興味ある、やってみたい!」と思うと10秒後には行動に移しちゃうタイプです(笑)。

そんな時「やらないで後悔するより、やって後悔しよう!」という言葉がいつも私の背中を押してくれます。

人生でいちばん初めにそれを感じたのは、たぶん中学生の時です。人見知りで引っ込み思案だった私は3年間通った塾でひとりも友達もいなければ、休憩時間に話せる相手すらいなかったんです。そんななか、卒業間際に入塾してきた同じ中学校の同級生が、1週間後にはクラス全員と友達になっていて、衝撃を受けました。

私はクラスのみんなと話したいなと思いながらも勇気が出なくて3年経っていたんです。子どもながらに「私、人生損してる! 勇気を出して話しかければよかった!」と、強く後悔したことを覚えています。

この出来事は私の大切なターニングポイントで、今の私が自分のやりたいことや挑戦したいことに躊躇なく踏み出せるのは、この時強く感じた「やればよかった、という後悔はしたくない」という想いがずっとどこかに残っているからだと思います。

そして今、新しく挑戦し始めた写真。昨年、コロナ禍になって大切な人や家族と会えなくなったり、たくさんの公演が中止になったり、今まで当たり前にできていたことが当たり前ではなくなった世の中で、「今」を残したい、と強く思うようになりました。

私が撮った写真を見て、その時のことを想い出すきっかけになったり、自分の素敵なところに気づいて貰えたりしたら嬉しいな、そんな写真が撮りたいなって思っています。

写真を始めて間もない私が、写真アカウントを作って公開するのって結構勇気がいるんです!(笑)
いつか写真アカウントを作りたいなと思いながら撮り始めて1年以上がたって、いざ!どの写真を載せようかなと選んでいる時に1年前に撮った写真を見て恥ずかしくなりました。私、下手だな、って。

1年後の私が下手だなって思うってことは、写真を長年やっている方からしてみたら私が載せてる写真って全部下手だなと思われていると思うんです(笑)。そんな時はあの言葉が背中を押してくれます。だから、恥をかいてもいい。とにかくやってみよう。

アカウントを始めたからこそ自分の課題が浮き彫りになったり、逆に得意なことが発見できたり、本当にたくさん気づきがあって、やっぱり始めてよかったなって思います。

30歳手前でミュージカルスクールに入学した時も、40歳手前でカメラを始めた時も、いつも新しい挑戦をする時に後押ししてくれる言葉。もちろん40年の人生のなかで、勇気が出なくて行動に移せずに後悔したこともたくさんあります。だからこそ、「どうせ後悔するなら、やって後悔しよう」という言葉が積み重なって、心に刻まれています。たとえ失敗しても、やりたかったことをやらない人生よりいいですからね。

この言葉を私の迷った時の指針にして、これからも勇気を出して、いろんなことに挑戦していきたいなと思います。

CREDIT

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俳優。劇団四季『オペラ座の怪人』をはじめ、『ミス・サイゴン』『レ・ミゼラブル』などミュージカルや舞台を中心に活動。バラエティ等テレビ出演も多数。趣味は写真。

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ライター / エディター。1990年生まれ、北海道帯広市出身。ロッキング・オン・ジャパン、CINRA.NET編集部を経て2017年夏に独立。BRUTUS、VOGUE、TOKION、TOKYO VOICE等に寄稿。

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