PHOTOGRAPHY / TEXT NAO
私は、わたし。
Vol.01 平井美葉(BEYOOOOONDS)
今はアイドル・平井美葉を生きる。
理想と葛藤で揺れながら
PHOTOGRAPHY / TEXT
NAO
アイドルというより“表現者”。平井美葉さんにはそんな言葉がしっくりきます。
現役大学生ながら、三度目となるハロー!プロジェクトのオーディションに挑戦し、2019年にBEYOOOOONDSとしてデビュー。当初から注目を集めたダンスに加え、歌や演技など表現の幅を広げています。
「最初は不安しかなかった」と語る彼女。めきめき頭角を現していった裏側には、理想と葛藤の狭間で揺れながら、それでも進み続ける姿がありました。
とにかく表現したくて、アイドルになった
「デビューから3年。ようやく自分を認められるようになりました。はじめは不安が大きかったです。普通の大学生だったし応援してくれる人がいるのか分からなくて。ここ山野ホールはお披露目の場。数年ぶりに来て、あの頃の感情がぶわーっと蘇りました」
4歳からクラシックバレエを習っていましたが、平井さんいわく「ただ踊っていただけ」。本格的に表現の道を志したきっかけは、中学時代、ダンサーの菅原小春さんをCMで目にしたこと。
「『こんなに感情を爆発させて踊っていいんだ!』って心を奪われ、私もステージに立ちたいと強く思いました。ハロー!プロジェクトを目指したのは、歌や芝居にも興味があり全部挑戦できそうだったから。モーニング娘。さんの『Help me!!』を見て惹かれていたんです」
唯一無二のパフォーマンス…でも
それでBEYOOOOONDSに加入するんだから、運命ってある。ダンスや歌に加え、寸劇、生演奏、カスタネット?!ジャンルレスなパフォーマンスで魅了する個性派アイドル。
今は「BEYOOOOONDSならではのアプローチで皆さんの心を動かせている」と日々実感しているそうですが、大学在学中のアイドルデビューということもあり、最初は戸惑うことも。
「たとえば寸劇はやりきればかっこいいんです。だけど18歳で加入したからこそ、ふと我に返って恥ずかしいと思ってしまう自分もいて。表現の殻を破るのに苦戦した時期もありました」
“私だからできることがある”そう思えた3年間
それでも一つひとつの葛藤と向き合い、表現として昇華していく平井さん。たとえば小さな役でもくじけず、解釈を深めた結果、次の舞台でメインの役柄を射止めたこと。最近はもどかしさを感じていた歌声を武器と思えるようになったそう。
「実は高音が出づらくて、声量がなくて、声帯もよわよわで…。2020年のソロ歌唱コンサートを機に、スキルを身につけようと力を入れました。今はいいバランスで感情を乗せたり、ハスキーな声質をスパイスとして活かせるようになっています」
「歌と向き合って、自己肯定感がすごく上がったんです。『私だからできることがある』と思えて。コンプレックスはありますが、他のジャンルでもそういう現象が起きるはずだから、どんどん手を広げたい。今極めたいのはダンス」
アイドルを生きることが未来につながる
「今は堂々と平井美葉をプッシュしたい。メジャーデビュー曲のMVでは目立ちたくなくて『隠れとこ』って思ってたけど(笑)」どこか自信なげだった彼女はもういません。
「アイドルである以上、卒業は必ず来る。その先の漠然とした不安はありますが、BEYOOOOONDSの平井美葉として活動できる時間を生きない限り、望む未来も来ない。だからひたすらやり抜きたいし、全力の今がどうつながるか楽しみです」