#FOCUS
YOUCA
FOCUS VOL.04 YOUCA
目で見て、感じる。
体験することの価値
現在開催中の体験型アートイベント『PEEP展』をディレクションするヘアメイクアーティストのYOUCAさん。彼女の創作源や本職と創作活動を両立できる方法、そして展示の見どころをお聞きしました。
PHOTOGRAPHY
HANA YOSHINO
ラフォーレ原宿6F・BE AT STUDIOで開催中の『PEEP展』は“覗き見“をテーマに、YOUCAさんとさまざまなクリエイターがコラボレーションしたアートイベントです。ヘアメイクアーティストとして活躍しながら、イラストやコラージュ作品の制作も手掛けるYOUCAさんは、独学でクリエイションにのめり込み、ここまでの大規模な展示に至りました。
「始めはブライダルのヘアメイクを地元の神戸でやっていたのですが、もっと自由なヘアメイクに挑戦したいと思い24歳で上京しました。アシスタントを経て独立して、最初に担当したアーティストが顔にペイントを施す“TEMPURA KIDZ”でした。仕事の空き時間に、そのペイント道具だった絵の具を使ってフリーダ・カーロの絵を描いてみたんです。意外と可愛くできて、少しずつ絵を描くようになりました」
今でも「美大に行って基礎を学びたかった」といいますが、絵を動かしてみたり、実際に作品撮りをして本当の人を動かしたりと、型に捉われない自由な発想が今回の展示に繋がっています。
「5年ほど前から本格的に友人のアーティストやカメラマン、映像ディレクターと作品制作をするようになりました。ヘアメイクの仕事はある程度決まりがありますが、何にも縛りがない、0から1を作れる創作は仕事とは別の楽しさがありますね」
本職とのバランスを上手く取りながら、作品制作は「お金をかけて本気でやっている趣味」だと語ります。
「仕事はもちろん頑張って作品を作るための資金を稼いでいます。仕事をしないと好きなことはできませんし、本業のヘアメイクも好きなので両方とも必要だと思っています。やりたいことは、やろうと思えばなんでもできるんですよ。私も初めはこの規模の展示になるなんて、想像もしていませんでした。何か好きなものを作ろうという小さな一歩から、だんだんやりたいことが大きくなっていきましたね」
アイデアを思いついたときの閃きや可愛いものへのときめきが、YOUCAさんにとって大事な感覚だそう。アイデアは日々の蓄積から生まれるといいます。
「自分が好きか、可愛いと思えるかがすべての判断材料で、好き嫌いがはっきりしています。立体や体験型の展示が好きでよく見に行きます。可愛いなと思ったものや発想に驚いたものが脳内に蓄積されて、自分の中の引き出しが増えていく感じです。毎日の散歩やお風呂で、その引き出しの中からふとアイデアが降ってくる瞬間があって、それがとても楽しいです」
『PEEP展』は覗き見をテーマに、体験するアート作品が8つ展開されています。一年半前から作品制作をスタートさせ、BE AT STUDIOが共催となり大規模な展示に至りました。いくつもの仕掛けのなかで、その見所をお聞きしました。
「会場に入ってすぐの部屋は、6月に直島で見たボルタンスキーの展示がインスピレーション源になっています。菅沼ゆりさんの“BUNNY”は最後まで見せ方が決まらず、試行錯誤を繰り返して最初のプランから大きく変化しました。ドアにしようか、小部屋にしようかと話し合いましたが、最終的に出版社として見せることにしました。三戸なつめさんの“MITOLL”は特に体験型で、自分で覗いたときにこれだ!と思いましたね。さまざまなクリエイターの方に協力してもらったこともいいスパイスとなっています」
体験して楽しむことに重点が置かれているこの展示。YOUCAさんの想いを最後に語っていただきました。
「実際に体験をして、ドキドキワクワクしてほしいです。SNSで何でも見ることはできますが、それだけだと勿体無いなと思います。その場に行って見ることや感じることには価値があって、その人の財産になる。ぜひ会場で楽しさを味わってもらえたら嬉しいです」