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EDITOR
MAKI TAKENAKA / YUME NOMURA
MARIKO KOBAYASHI
PHOTOGRAPHY
Aiko Iijima
INTERVIEW & TEXT
# FEATURE

me and youが紡ぐ
新たな場所。未知への
手がかりとなる対話

自分らしく生きる女性を祝福するためのライフ&カルチャーコミュニティ・She isを立ち上げた編集者の竹中万季さんと野村由芽さん。2021年4月にふたりで、個人と個人の対話を出発点に、遠くの誰かにまで想像や語りを広げていくための活動を行う拠点として新たな会社「me and you」を立ち上げました。

もともと性格やタイプがまったく違うというふたりが重ねてきた対話、様々な他者と出会い交わることや、me and youという新たな場所について、ふたりが会社員時代に仕事終わりによく行ったというカラオケでじっくり伺いました。

独立したからこそ得た
新たな感覚と視野

今年4月に独立したばかりの竹中さんと野村さん。まっさらな状態からのスタートはどうか聞いてみると、ふたりとも「独立して良かった」と口を揃えます。

野村「独立して、小さな規模でも自分たちで動くことで、会社にいた頃には見えなかった仕組みが見えてきました。それによって世の中の見え方や心地よい付き合い方が少しずつわかってきた気がします。あと、独立するまでは『私は仕事をする人間だ』と思い込んでずっと仕事をしていたのですが、もっと周りの人や一緒に生きている人のことを大事にしようと思うようになりましたね」

竹中「独立してから、生活と仕事の関係や両立をすごく考えるようになりました。生きている時間のうち、どんなことに時間を使ったら、自分たちにも周りの人や世の中にとってもよりいいのかと、一つひとつ取捨選択しながら健やかに生きたいなと思っています」

まったくタイプの違うふたりが
交感して広げていく世界

会社員時代、仕事終わりによくカラオケに訪れ、親交を深めていたというふたり。歌うのはもちろん、10代の頃の話など仕事を超えたトピックを語り合ったことを振り返り、竹中さんは「もし中高一緒だったらきっと仲良くなれなかったと思います」と笑います。

竹中「私は学校ではあまり自分らしくいられていない感覚がずっとあって、体育祭のような学校の行事も斜めから見て本気を出して参加しないようなタイプでした。自分が好きなものを伝えたり、自分を表現したりするのがあまり得意ではなかったんです。でも、インターネット上では好きな音楽や映画や本などを共有できる友達がいて、こっちのほうが本当の自分がいる気がする、と思っていました」

野村「私は女子高の頃は応援団をやったり、合唱コンクールの衣装をつくったり、クラス行事に積極的にかかわっていました。でも遡ると、中学の頃に思うように自分を表現できなかった時期があって、そのときから『みんながいい』と思うものに無理にあわせるのではなく、多くの人に理解されなくても心からおもしろいと思えるものを探す過程に、自分自身の居場所を見つけた感覚があったんです。学生時代から、自分が大切だと信じるものをほかの誰かと共有しながら世界を捉え直していくことはできないだろうか、という希望を捨てきれなかったのだと思います」

それぞれタイプは違うけれど描きたいものや好きなものを捨てきれない思い、そして「違和感に対してもがき続ける」という点でシンパシーを感じ合うふたり。ひとりでは凝り固まってしまったり、自分の考えが合っているのか不安になることもあるけれど、対話とともに「そういう考えもあったんだ!」という発見が積み重なっているといいます。

野村「私はわりと力技で『こうありたい!』という方向に自分を持っていこうとするほうだったんです。でも、万季ちゃんと対話をしていくなかで、すべてを“良い”というほうに持っていくことよりも、コツコツ積み重ねていく過程自体を見つめるようになりました。ありたいかたちを描くことと、過程をじっくり見つめること。その両方が大事なんだと気づきました」

竹中「私はもともとは誰かと一緒よりも、ひとりで何かをするほうが好きだったんです。でも、ふたりだと、ひとりでは行き着けないところに行けるし、さまざまな人たちとの繋がりの中で見える世界の面白さに気づいてしまって。自分の人生においてのプロジェクトでもあるShe isを始めるまでは思いもつかないことでした。そいう考え方にシフトしたことで、人間性や性格も大きく変わった気がします」

自分を過大評価も
過小評価もせず
“そのままの自分が
できること”が大切

「関係性のことをずっと考えて続けてきたよね」と話しながら、その過程では喧嘩もしてきたと振り返ります。

野村「言いたいことを言い合うと、相手のことを敵みたいに思ったり、お互い傷つけ合う存在だと感じてしまうこともありますよね。万季ちゃんが、『傷つけてしまうかもしれない。でも、言ったほうがいいと思って』という言い方をしてくれたことがあって、私も心づもりができて『言ってくれてありがとう。気をつけるね』というやりとりができました。相手を軽んじたり、心を痛めつけようとする意思が根っこにないと理解し合うことは、人との関係において大事なんだと知りました」

自分に対しての相手の言葉を受け入れられたり「そのとおり」と頷けたり、柔らかな衝突を受け止め合えるのは、自分自身の“できなさ”を認めることができているからかもしれません。「万季ちゃんはよく“できない”話をするよね」と野村さん。

竹中「仕事などをしていると『自分はこれができる』という話のほうが多くなりがちだけれど、『こういうところができなくて』という会話って、実はその相手としか話せないようなところにまで広がっていく。それを自虐や卑屈にならないかたちで話し始めることは最近意識しています」

野村「私は今の仕事に至るまでのことを『自分で選んでいる』と思っていたところがあったんです。でも、『できる』と思っていたことも、さまざまな人の助けや、環境による影響が大きかったことに気づいたり、あとは身近な人と話したときに、自分が『できる』と思っていたことは、本当はそれしか『できなかった』のだと実感するできごともありました。結果は同じであっても、いろんな角度で捉えられることについて最近よく考えます」

そう振り返りながら野村さんは「最近は、自分が『できる!』と思い続けることの行き詰まりを感じている」と続けます。

野村「今35歳で身体の変化も感じるし、昔みたいに働けないなって思った時に、“できる”をベースにして考えていくと、『なんでできないんだろう?』『前はできたのに』とどんどん苦しくなっていってしまう。だから今は、自分を過大評価も過小評価もせず、“そのままの自分ができること”が大切かなって思います」

未知への手がかりを探している
行為自体を肯定したい

ふたりは現在、“対話から始める「me and you」新メディア・コミュニティ”を作ろうとしている真っ最中。どのような場所にしていきたいか聞くと、こんな答えが返ってきました。

竹中「”偶然の誰か・何かとの出会い”が無数に起きる場所になったらいいなと思っています。役職や属性、付随するラベルとは関係なく、まだ出会えていないけれど自分にとって大切な誰か / 何かと出会えるかもしれない。私自身、そういう出会いにすごく惹かれます」

野村「『通り道のようでありたい』ということ。私自身、『ここだけが居場所』みたいな状況が苦しかったので、漠然としていますが、ここを通り過ぎた人それぞれにとってのよいことが起こるといいなと思います。その途中で、たったひとつでも『これを抱えながら生きていけるかも』と思えるようなものと出会えるといいなと思っています」

ひとところに留まらずとも、安心して誰かと交わることのできる場所。「いろんな人の『ああでもない、こうでもない』を聞きたいとも思っている」とふたりは続けます。

竹中「仕事をしながら『自分はこの道でいいのかな?』と悩んだり、日々のなかで違和感が生まれたときに、まだ考えている途中のことを共有できる行きつけの店みたいな感覚で立ち寄ってもらえたらいいなって思います。コロナ禍で限られた環境で過ごしている人も多いと思うので、今暮らしている場所を超えてここでなら話せるという場所になったら」

野村「しっくりくる考えがなかなか見つからないこともあれば、環境によっては悩んだり揺れ動くことをやめたほうがいいと言われる場面もあると思います。でも、この場所では考えたり、感じたり、未知への手がかりを探している行為自体を肯定したい。そういうことに興味を持っている方がいたら一緒に話したいと思っています」

お知らせ

me and youは新たなメディア・コミュニティの立ち上げを予定しています。
メディアのローンチに先駆けて、クラウドファンディングを2021年11月5日から2022年2月10日まで実施しています。
https://motion-gallery.net/projects/meandyou

CREDIT

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1988年生まれ。編集者 / プロデューサー。2017年、CINRAにてライフ&カルチャーコミュニティ「She is」を立ち上げ、ブランドリーダーを担当。21年4月、野村由芽とともに株式会社ミーアンドユーを設立、代表取締役に就任。社会に存在する課題を見据えながら、個人の小さな声を大切にし、それぞれの人の温度や思いを伝えていく仕事を心がけている。

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1986年生まれ。編集者 / 文章を書く。2017年、CINRAにてライフ&カルチャーコミュニティ「She is」を立ち上げ、編集長に就任。21年4月、竹中万季とともに株式会社ミーアンドユーを設立、取締役に就任。遠くと近くを行き来しながら、相手の言葉に耳を傾け、対話をしながらひとときその人の風景に潜ったり、一緒につくっていくような編集視点を心がけている。

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1993年、東京生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。大学入学をきっかけに写真を始め、「楽しいこと」を追求しながら写真を撮っている。2017年には初の写真集『ふれる、ゆれる。』を出版。2021年8月には密をテーマに個展を開催。

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