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CREATOR
HAMASHAKA
MANABU NUMATA
PHOTOGRAPHY
AIKO IIJIMA
INTERVIEW & TEXT
はましゃか
# FEATURE

自分をハグする。
はましゃかが目指す仕事と生活

苦手なことをしなければいけないとき、みなさんはどうしていますか? 今回、執筆、セルフポートレート撮影、モデル、女優、web番組のコメンテーターと、多岐にわたる活動を生業としているはましゃかさんが登場。

「フリーランス」という肩書きで活動する意図や、どうしてもできないことや苦手なこととうまく付き合っていくための試行錯誤の日々についてお伺いしました。

私の職業を表せる言葉は
「フリーランス」しかない

多摩美術大学在学中から現在の活動を始め、フリーランスとして社会に出はましゃかさん。多岐にわたるクリエイティブ活動を続けている彼女ですが、なぜクリエイターや作家ではなく、わざわざ「フリーランス」と名乗るようになったのでしょう。

「クリエイターと言えるほどクリエイティブなことを日々やっているわけではないんですよ。エッセイだけを書いているわけじゃないからエッセイストでもない。モデルもイラストレーターもタレントみたいな仕事も、全部をひとつにまとめられなかったので、嘘をつかずに私の職業のかたちを表せる言葉は『フリーランス』しかないと思ったんです」

はましゃか はましゃか

大学卒業後すぐに名乗った「新卒フリーランス」という肩書きも、「SNSの限られた文字数のプロフィール欄に、単純に事実を並べただけなんです」と話すはましゃかさん。職種を限定せずに仕事を楽しんでいるように見える彼女ですが、実はこんな思いを抱いているんだとか。

「ひとつのことをずっとやっている人をすごくかっこいいと思うんです。私のスタイルだと器用貧乏になりかねないし、人から声をかけてもらって初めて仕事になるので、活動もどんどん変わっていく。たとえば、コメンテーターの仕事も『番組でしゃべるとか大丈夫かな?』と思いながら始めました」

はましゃか
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インタビュー
グリン
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できる仕事の種類は多いけど
できる量は多くない

そんなはましゃかさんのnoteには、『できる仕事が多すぎて困る… 女優志望で新卒フリーランスの20種類の仕事』と題して、得意な仕事やできることが事細かに書かれています。そのなかでも目を引くのが『特別なお願い』という見出しの文章。「時間とスケジュール管理が苦手な持病があります」「24時間対応の制作が苦手です」など、できることと同じくらい明確に、できないことが記されています。

「3年前に書いたもので今とは状況が全然違うから、本当は書き直さないといけないんです(笑)。この記事が今でも見られていることにびっくりなくらい。私は特性として、おっちょこちょいじゃ済まされないミスをしてしまうことが多いんです。それなのに、大学時代、そういう特性を言わずにイラストレーターの事務所のバイトをして失敗してしまったこともありました」

どうしても繰り返してしまうダブルブッキングや当日欠席。失敗を重ねるうちに、とうとうクビになってしまったといいます。

「クビになったとき、『実はこういう特性があって、今まですみませんでした』と謝ったら、『知っていたらもっと対策できたのに』と言われたんです。それで、やっぱり言っておいたほうがいいよなって思ったんです。そのあと映画館のバイトの面接で特性のことを伝えたら、受からなかったんですけどね(笑)」

その気づきから、新卒1年目の夏にnoteに投稿したのが、さきほどの記事でした。

「やれることだけ書いて、すごい人なんじゃないか、なんでも頼めるんじゃないかと思われてしまったらちょっと困るんですよね。私の場合、できる仕事がひとつに定まっていないだけで、バリバリ仕事ができるわけじゃないので、できる量は多くないってことや、未熟な部分があるってことを先に言っておかないと、また誤解が起きてしまうと思ったんです」

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仕事にまつわる肯定感は低い
生活にまつわる肯定感は高い

「このnoteを書いているからって、すべてが解決するわけじゃなくて、失敗やもたくさんあります」と続けるはましゃかさん。右も左もわからないフリーランスになりたての頃は、とにかく自らが動くことでその不安をどうにか解消しようとしていたのだそう。

「仕事で失敗すると社会的なヤバさがあるし、自分のミスも目立つから、どうしても仕事にまつわる自己肯定感は低いです。以前は野心を持ったほうがキャリア的にもいいと思ってたくさん動いていたのですが、最近はシェアハウスに住むようになって生活コストが下がったこともあり、仕事やお金、自分の生活のバランスを改めて考えるようになりました。お金を使わない今の生活に満足しているので、”生活している自分“に対する自己肯定感は高いです」

セルフポートレート
セルフポートレート

セルフハグするように
自分を見てあげる

今でこそ自分のペースをつかめつつあるはましゃかさん。そんななかで大学時代から続けている「自撮り」が、今でも気晴らしになることがあるといいます。最初はSNSでいいねがほしいという自己承認欲求からスタートし、他人の視線や他者のジャッジ、社会的なレッテルやラベリングから解放されたいという思いをもとに続けているという「自撮り」についてこう語ります。

(※写真は本人によるセルフポートレート)

「当時は自撮りってちょっと恥ずかしいものとして見られていたんですけど、私は第三者の目線から自分を解放するために、自撮りしていました。自分の目線をカメラに託して、セルフハグのように自分を見てあげる。辛いときには自撮りが自己救済になっていました」

自分をサゲにしないよう
ちょっとずつ工夫してる途中

自撮りを始めた頃、はましゃかさんは「自分で選んだ問題を解決するための思考やデザインで作品を作る」という大学の課題に取り組むことに。「自撮りを恥ずかしいものではなく、自己肯定感を高めるかっこよくて素敵な創作だと表現したい」という思いを抱きながらも、半年ほど課題を提出できずに悩んでいたんだそう。

「悩んでいたときに一度札幌の実家に帰って、そこでも自撮りをしていたんです。そしたら、調子がいいときより、落ち込んでいるつらい顔をしたままの自撮りのほうが、人にうったえかけるようないい作品が撮れて創作意欲が湧いてきました。セルフポートレートは、鏡で反転した自分を見るのとは違う、普段は見えない自分が見えてくる。そのときの自分を誰にもジャッジされずにそのまま受け入れられる方法なんです」

はましゃか
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「いい作品ができるからといって、あえてつらい環境に身を置いたり、目的と手段が逆転しないようにしたい」と続けるはましゃかさん。そんな自撮りの歴史を経て、現在はこんなふうに考えています。

「自分の特性を知ったうえでも、やっぱり仕事にまつわることで罪悪感を抱くことが多いんです。だから、今は自分をあんまりサゲな状態にしないように、ちょっとずつ工夫している途中です。そのためにもまずは心も元気にいられるよう、ベースとなる生活を大切にしたいと思っています」

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はましゃか

1994年生まれ。多摩美術大学在学中からモデルやイラストレーターとして活動を行ない、Instagramにイラストや手書き文字をコラージュした自身の写真・通称「しゃかコラ」で注目される。卒業後の現在は「フリーランス」として、モデル、俳優、アートディレクション、エッセイ執筆など幅広い分野で活躍中。

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北海道生まれ。会社員を辞めアンダーグラウンドを紆余曲折しまくった後カメラマンに。バイクひとつで現場直行。地べたに這いつくばりながら活動中。写真集『築地魚河岸ブルース』。

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Aiko Iijima

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DIRECTOR
BACON THEATER

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『先輩たちが語る、自分らしく働くヒント フリーランスの進路相談室』
監修・著:Workship MAGAZINE
出版社:KADOKAWA
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